扉の向こうには、すべての時間があった。
どもども、ひゃくとんです。
いやぁ。
見てきましたよ。
すずめの戸締まり。
商業デビュー作「ほしのこえ」から今作に至るまで、
欠かさず観ては心を揺り動かされ続け、
新海誠監督には足を向けて眠ることのできないひゃくとん。
不安は良い意味で見事に的中し。
日本を代表するアニメーション映画人となった監督の最新作です。
ブログを再開して早2か月。
リバイバルブロガーの端くれとして、今回も
ネタバレを一切せずに感想を述べていきたいと思います。
そのため。
こちらの記事には、CMやあらすじなどから分かりうる情報以外には
抵触せずに文章を進めましたので、未視聴の方もご安心あれ。
さて。
結論から申し上げますと。
わたくし、劇場でオンオン泣きました。
号泣。
正直。
アニメ映画単体でみたときの純粋な評価は、
そこまで突出して高いわけではなかったです。
見終わって暫くした今思い返しても、
宣伝文句然り、今作が「新海誠作品の最高傑作だ!」と
声を大にしての賛同はできません。
私自身。
嗜む程度に映画鑑賞が趣味な上、穿った性格も相まって。
「お涙頂戴もの」や「泣かせシーン」というのはあまり好きではありません。
にも拘わらず。
気が付けば、涙はじわじわと流れておりました(´;ω;`)ウゥゥ
この涙はなんだったのか。
自分の中でもまだ心の整理が完全にはついておらず。
冷静になったいま。
スズメの涙ならぬ、ひゃくとんの涙を深堀する形で、
書きながらゆっくりと解決して述べていければな、と。
新海誠監督作品といえば。
2016年公開「君の名は。」は隕石、2019年公開「天気の子」は大雨と、
自然現象とそれに付随する災害というものが色濃く世界観として設定されています。
若干のネタバレ要素ではありますが。
すずめの戸締まりを語る上で、
公式発表の事前注意喚起については触れざるを得ません。
――映画『すずめの戸締まり』公式Twitter他より
今回、直接的に地震を想起させる表現や、
あえて、現実世界とリンクさせることを公言したこれらの事前情報は
公開前から物議を醸し、案の定、封切り後も“賛否両論”となっているようです。
“否”の要素は想像に難しません。
過去作ではオブラートに包んでいたディザスターな内容を、
エンターテイメントとして、ファンタジー表現に昇華することの是非が問われました。
但。
テーマ性だけで「賛否両論が出るだろう」と、
外野が評価するのは少し違う気がする、かなと。
思うわけです。
だって。
「東日本大震災」を画題にしたら、
批判が来るのは当然じゃないですか(´・ω・`)
もちろん。
未だに緊急地震速報で動悸が止まらなくなる方々もいます。
PTSDの恐ろしさは、医療従事者だからこそ十二分に理解しているつもりです。
忘れる、忘れないの次元じゃない。
だからこそ。
本作映像内における震災や地震の表現は物凄く丁寧で。
物凄く“優しく”慎重に描かれてました。
配慮では片づけられない、
「映像美」で評価されている監督だからこその表現が目白押しで。
ここでは。
現実とフィクションとの区別だとか、
バイオレンス表現や銃戦争映画の毀誉とは、
みたいな話がしたいわけではなく。
5年後なら扱ってよいのか、
100年後まで触らぬ神とするのがいいのか、のような与太話でもなく。
たぶん。
新海誠監督は、批判を覚悟のうえで、
この2022年というタイミングで、
何にでも難癖をつけ非難囂々に祟りを見せつけるメディアに真っ向から対峙し。
「売れに売れている」この時期に映像表現するということに
重要な意味を見出しているんだな、と。
溢れんばかりの決意とメッセージが随所に散りばめられていて。
ああ。
だから。
自然と涙が流れたのか、と。
個人的には。
映画は映画単体として楽しみたいので、
監督その他製作陣の意図や解説の類は事前に取り込まないようにしているんです。
最近、多いじゃないですか。
ワンピースやsilentなどで顕著な。
「このシーンは実はこんな裏話が」とか
「モチーフとなった小ネタはこれだ!」みたいなもの。
過剰な“考察文化”に乗りたくはないんですよね(/・ω・)/
監督自身。
殊に震災に関して“直接的な”当事者ではありません。
わたしの地元も。
家が流されたり、家屋が倒壊したりといった被害は目の当たりにはしましたが、
住んでいた街が一瞬のうちに無くなり、大切な人を失ってもいません。
作中に描かれているような
「地震が日常になってしまっている」一般人そのものです。
でも。
当事者じゃないことを自覚して。
生き残って今を生きているからこそ伝えられるものも確実にあると思うんです。
代り映えしなくて良くなった日々や
“間接的な”被害者であるこの世界で生きる人たちに向けて、
彼は映画監督だからこそ、前々作・前作そして今作とすべてを通し、
映像作品のなかで災害に対する“想い”を伝えたかった。
過去の追憶も、未来への訓誡も。
そんな、
監督の覚悟に触れてしまったからこその
涙なのかもしれない、と今では感じています。
冒頭でも触れましたが。
今作のキャッチフレーズの中に
「新海誠の集大成にして最高傑作」というものがあります。
最高傑作、という部分については、
私自信、明確な答えは出ていません。
それでも。
間違いなく、現時点での集大成だ、とは言い切れます。
万人にお勧めできる作品ではないかもしれませんが、
是非とも観てほしい人たちがいる。
そんな映画でした。
……と。
ネタバレなしでは、なかなか、
作品のテーマやメッセージについてしか語れないですね(苦笑)
折を見て、そう遠くない時期に。
公開が終了した段階で、アニメ映画としての感想を、
内容にもどっぷり触れた感想も残していきたいなと思います。
乞うご期待!