柄にもなく 竦む足が 今
どもども、ひゃくとんです。
皆さん、初夢は見ましたか?(・∀・)
普段から割と夢を見がちなひゃくとん。
今年も早速「教室で講義を受けつつ模型を作る」みたいな地味な夢を見ました。
マジ、ジミーペイジ。
なんか。
学生時代の夢、多いんですよね。
メンバーはごちゃごちゃなんですけれど。
授業だったり、部活動だったり。
学生生活に、未練でもあるのかしらん。
でも。
また地獄の練習や辛い実習、試験期間をやりたいかと言われると。
むむむ。
夢は。
夢のままの方が良いのかもしれませんね(´・ω・`)
夢と言えば。
柄にもなく、キャラにもなく。
晴れた惚れたみたいな恋愛的ドラマチックな夢を見ることも多いんですよ。
……え?
まぁ。
夢の中くらい、良い思いさせてくださいな。
とかいいながら、夢でもバッドエンドが多いんですけれど(何故)
そこまで恋愛経験が豊富ではないからこそ。
ひとつひとつは結構大切に覚えていたります。
懐かしき。
色々物思いに耽っておりましたので、
初夢繋がりで、初恋の話でも。
需要はガン無視で、しばしお付き合いを(´_ゝ`)
早いのか遅いのかは分かりませんが。
しっかりとした「恋」みたいなものは、中学1年生の時でした。
当時の私にとって。
恋愛なんてものは、スクールカースト上位層による人間関係の奪い合いで。
誰某ちゃんは何某くんのことが好きだとか。
赫々ちゃんも何某くんを狙っているからハブろう(仲間外れにしよう)だとか。
そういった、
少し突けばいつでも崩れてしまいそうな、
繊細で小さなコミュニティにうんざりしながらも、
自分ごときの言動で無くなってしまうことが異常に怖く。
右顧左眄あるいは八方美人に振る舞い、
思いの丈はそうと閉まっておく風見鶏として過ごしておりました。
その必然か。
初恋のお相手は、同じ学習塾に通っていた別の中学に通う学生。
塾と言っても、受験勉強とは程遠い地元の補習塾で。
もともとグループ交際のような形で和気藹々と仲が良かったのですが。
その人と話していると妙に落ち着いて。
ただ単に住む場所で指定された学区が違っていただけなのですが、
「学校が異なる」という事実自体が恰好良く。
それは向こうにとっても十二分に魅力的に映っていたようです。
学校とは違う束の間の異空間で、
きたる中学生最初の夏休みに想いを馳せ。
「みんなで夏祭りに行こう」
という流れになりまして。
地元で一番大きな祭りは毎年夏休みの最後、8月末に開催されるので、
手始めに7月中に行われる小さなお祭りに行ってみよう、と
ここまでは良かったのですが。
その日は部活だの家族旅行だのと、みな方々に予定があるらしく、
暇を持て余していた私は、少し寂しくもそれじゃあ月末のお祭りで、
なんて愛想笑いをしていたものでした。
そんな折。
鞄がブルブルと震えていることに気が付き、開いてみると、
教科書の奥底で携帯電話が高層ビルの航空障害灯のように赤く点滅していたのです。
時は2005年。
lineやメールすらも気軽にできないような時代。
緊急連絡用に親に持たされたそれは、パケット通信契約もしていない電話専用機で、
メールもSMSで50文字しか打てない代物。
親からの連絡だろうなと画面を見ると
「ふたりでいこうよ」の文字。
顔を上げると。
照れくさそうにこちらを見ている中学生が。
ひとり。
目が合い。
意を決してメッセージをくれたことに嬉しくも恥ずかしさもあり。
明らかに動揺していたその挙動で、
誰にもバレない様に、その場で「いこう」と指を動かしました。
机の列を挟んだ向こうで下を向き、画面を確認している傍輩も見るからに不審で。
そんなお互いに気づき一笑しながらも、携帯を強く握りしめ、
しっかりと頷いたのでした。
祭りと言っても、本当に小さな港町のお祭りで。
花火が上がるわけでもなく、商店街の一角で少し出店が出るような、
地域の催しに近いものだったように記憶しており。
お世辞にも「初デート」などと意識するにはあまりに若過ぎ。
それでも。
集合場所に私服姿で座っている交友を見かけたときには、
はっきりと、恋、というものが分かったような気がしました。
聞き馴染みのない駅名を確認し、
これからは大人料金だよねと確認しながら切符を購入。
ワンマン電車に揺られていると、程無く、
少しシーズンには早い海岸線が見えてきて。
今度は泳ぎにも来なくちゃだね、とか。
学校の水着は名前が入っているから嫌だ、とか。
照れ隠しか、いつも以上に会話が続き。
駅についても、ただひたすらに、笑いあいながら歩いていました。
浮かれていて気が付かなかったのか、
ついてすぐの商店街は祭り当日にしてはあまりに活気がなく。
出店どころか、人っ子ひとりいない。
周りを見ると、道を挟んだすぐそこに商店街の掲示板があり。
「延期のお知らせ」の張り紙。
喫茶店の軒先で掃き掃除をしていたおばさまに聞いてみると、
町内会の都合で1週間後に延期になったのだとか。
今でこそ。
5分後の雨予報が分かる世の中ですが。
当時は携帯電話で検索などできるはずもなく。
当然、隣町の情報など意識しなければ入ってくるはずもなく。
やってしまった。
唖然とする私を尻目に。
せっかくだからお世話になろうか、と。
そのまま喫茶店に入ることに。
知らない街で。
知らない喫茶店に、
馴染んでいない中学生が、ふたり。
親兄弟以外とお店に入ること自体が新鮮で。
夏祭りっぽいもの食べようよと、
かき氷を、2つ。
その街にとっては。
なんのことない、いつもの休日だったのかもしれませんが。
少し大人になったような気分で。
大人っぽく見えるテーブル越しの相手が直視できず。
お冷に浮かぶ氷を眺めては。
結露が流れていく様をぼんやりと見つめ。
「溶けちゃうよ」
と言われるまでは、運ばれてきたかき氷の存在にも気が付かず。
まだ食べてもいないのに少し頭痛がして。
少し突けばいつでも崩れてしまいそうな、
繊細で小さな雪綿に神経を尖らせながらも、
自分たちだけの言の葉で笑いあえていることが異常に嬉しく。
肌理繊細あるいは傍若無人に振る舞い、
思いの丈はまるで爽々と漂う海風のように溢れていました。
そんな、かけがえのない時間であることには気が付かず。
無邪気に色の変わった舌を見せつけ合いながら。
「また来年、来ようね」
と帰りの電車を待ったのでした。
その後間も無くして。
私がその学習塾を辞めてしまい、程無くして連絡も滞り疎遠になり。
自然と遊ばなくなってしまいました(´・ω・`)
今思えば。
移り変わりの激しい密な青春で、
宛ら蜻蛉を彷彿とするわずかな夏のひとときで。
しっかりと連絡を取る手段は幾らでもあったはずですが。
それもまた時の定ということなのでしょうか。
悲しいことに。
商店街も廃れ、喫茶店も閉店し。
思い出を辿ることすら出来なくなってしまったけれど。
とても良い心覚です。
未練でも愛慕でもなく。
追憶の森の中で、日常の些細な節目に、
こうして偲ぶことができるのも。
初恋の良さなのかもしれません。
今頃。
どこで何をしているのかな。
なんて。
心配などしなくても。
お祭りの日程確認もしないような私のことなど、とうの昔に忘れて。
どこか知らない街で、或いは、物凄く身近な町で。
幸せに暮らしてるのだろうと。
不確実な確信的な物思で、
年甲斐もなく、かき氷に勢いよく貪り、つん、と頭が痛くなるたびに。
あの喫茶店の情景を懐かしむのでした。
終劇。