国浪とんコツ日記。

真面目に不真面目なお医者、ひゃくとんによるコツコツ便り。

未来の【医師国試予備校業界】を大胆予想!~後編~

技術, 手, 契約, わかりました, 画面, コンピューター, オフィス, チームワーク, 統合

 未来のミライ

 

どもども。

ひゃくとんです。

 

前回は厚生労働省による医師国家試験改善検討部会の資料を基に、

第117回以降の医師国試がどうなっていくのかの見通しについてまとめました。

hyakuton100t.hatenablog.com

今回は。

前回整理した情報をベースに、

未来の医師国家試験対策予備校はどうなっていくのか?

というのを具体的に予想していきたいと思います。

 

所謂。

久々の予備校考察ブログですね。

原点回帰。

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「予備校名バンバン出し過ぎでは?」

「medu4にも関わっているのにこんなこと書いても大丈夫か!?」

みたいな予想も綴ろうかと思いますが、あくまでも個人の希望的感想です(´・ω・`)

ご容赦を。

 

J.K.ローリングさんもびっくりの超大作になってしまったので、

興味のある予想リンクに飛んで少しずつ読んでみてください!

ウィンガーディアム・レビオーサ!

 

 【目次】

 

すべてはAIに管理される時代に。

過去問ですらアプリで解くようになったコンニチ。

1人1台のスマホ世代になってから久しく、スキマ時間にサクっと演習できるのは良いことですよね。

 

そんなアプリ化の波は国試予備校業界にも押し寄せていて。

名立たる予備校はもちろん、無料で公開している団体も含めると

実に5社以上のアプリから過去問演習や解説閲覧できるようになっています。

 

利便性の部分は割愛するとして。

今後予備校アプリはどんどんAI化が進んでいくと予想できます。

 

実際に大手予備校では既に。

浪人生向けの小テストは一部オンライン上で管理され、

アルゴリズムによって苦手分野をフィードバックしているところが多いです。

 

加えて、映像講義視聴履歴も同期されているため、

「今日はこの講義を進めよう!」

「このペースでいけば何時何時までに見終わるよ!」

といったサポートも自動的に行われていくわけです。

 

MECでは更に、過去の模試・国試の成績データとAI を活⽤して、

新たな学⼒判定指標を2021 年4 ⽉より提供開始している模様。

www.antcapital.jp

 

このAI活用の流れは当然、既存のアプリにも順次反映されていくと思われます。

 

具体的には。

自身の入力した、

「〇解けた」「△解けたけど注意」「×間違えた」

などの情報を基に、

アプリ側が誤答問題・選択肢に関連した類似問題を自動検索、

オリジナル復習問題集の自動作成!という未来もそう遠くないと踏んでいます。

 

今はアプリ内で動画講義もできるので、苦手分野は勿論のこと。

アプリによる学習進歩管理→アプリによるオリジナル苦手分野抜き打ちテスト!?

なんてことも実現されるかもしれません(/ω\)

 

ゆくゆくは。

各予備校に存在していた「チューター」の存在がAIに置き換わる日も遠くないはず。

後述するVtuberコンシェルジュとしてサポートしてくれるかもですね。

 

映像講義は「国試対策特化型」と「生涯学習型」とに2極化する!?

前編でも触れたとおり。

国試版OSCE国試設問の非公開化により、

117回以降の国試対策も大きく変化していくことは必須です。

 

しかし。再三述べている通り。

国試過去問プール制も考慮すると、

今までの「過去問ベース」の勉強法で及第点が取れるという前提は揺るがないです。

その講義を聞かないと合否を分ける、なんていう講座は存在しません。

 

本来の予備校というものを文字通り取るならば。

あの分厚いイヤーノートですら5%は載っていない膨大な医学知識を、

どんなに勉強しても下位10%は落とされる環境の中で、

いかに効率よく短期間で詰め込むかということに特化したものであるべき!

という意見もあります。

 

とは言うものの。

国家試験のうち医師にフォーカスすると、

出題自体が臨床知識をベースとしていることもあり、

基本的な臨床知識と(実質的な医学部7・8年生である)初期研修における

実臨床の“生の知識”とは切っても切り離せないというのもまた事実(´・ω・`)

 

学生心理として。

今まで通り臨床重視の講座が流行ってしまうのも1つの流れだと思います。

 

これは、

・完璧な過去問公開は116回までであること

・既に過去問ベースの映像講義は既存のものでほぼ完成されている

ということにも裏打ちされていますよね。

 

ビジネス戦略としても。

新規講座による真新しさを売りに出すためには、メイン講座の集客も含め

サブ講座・臨床寄りの講座を出さざるを得ないというところもあるでしょうか。

 

各予備校にある臨床向けサブ講座のラインナップとして、

・症候学

・治療薬

・OSCE対策講座

・臨床・検査手技対策講座

については単発講座として既に販売している様子。

 

今後の国試のオンライン化も考慮すると。

CBTでいう4連問1問目のような鑑別問題として対策は必要でしょう。

 

症候学概論のような総合診療系・主訴ベースの出題が増加すると予想して、

QAが山中先生や志水先生・林先生とタッグを組んでいるのも納得で必然の流れですね。

 

治療薬についても。

medu4.com

降圧薬の使い分けのようなものが出題され始めており治療薬講座も盛況になるかと。

 

そのうえで。

今後は臨床に即したハイレベル各論講座も増加するのでは?と読んでおります。

 

例えば。

初期研修の先取り講座.

 

昨年改訂された医師臨床研修指導ガイドライン-2020 年度版-

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/ishirinsyokensyu_guideline_2020.pdf

 

を根拠に、

「初期研修前にこの辺りは押さえてね」的知識は今後も広く出題されるでしょうか。

特にEPOC該当の 29 症候と 26 疾病・病態は

今後フォーカスされた講義が出てくる可能性もありますよね。

内科レジデントの鉄則レベルの内容は解説講義も出てくるかもです(´・ω・`)

 

先取りといえば。

先日、遂に新専門医制度一期生による内科専門医試験が開催されました。

note.com

 

後期研修修了試験的位置付けです。

有志による再現もさることながら。

その前段階に当たる医師国家試験では上記の前提知識は問われること必須です。

 

実際、大手予備校は直近の各専門医試験を参考に直前期の予想問題を作成・的中を狙っているので、サラッと確認しておくと本番で良いことがあるかもしれません。

 

臨床向け講義が生まれてくると、必然的に従来の講義との差異化が求められますよね。

 

場合によっては。

大学受験時代のようなレベル別講座も出てくるかもしれません。

 

低学年から予備校講座を受講する医学生の増加に伴い、

M2-4向けのアドバンスドな各論への需要出現もポシビリティーがあります。

 

例)

M1-2  基礎医学(解剖生理病理統計など)

M3-4  CBT国試基礎講座

M5        従来の国試臓器別

M6         ハイレベル臓器別(卒試対策も含む)・直前講座

 

もっと具体的には。

「国試スタートダッシュ講座(かつてのTECOM酒井先生のような基礎力養成講座)」

「偏差値40からの循環器」

「必修ベホマズン

「天空への整形外科学」

みたいな講義が出てくると最高ですよね!?(年齢がバレる)

 

もちろん。

前述のAIによる「データドリブン(Data Driven:データ駆動)」が一般化すれば、

問題演習を行うだけで、上記の中でも自分に必要な講座がオススメとしてトップに表示されるようになるかもしれません。

 

つまるところ。

誰をターゲットにするか

にフォーカスされたオーダーメイドな講座が生まれる可能性があるということです。

 

過去にも述べましたが。

82大学あれば82通りの対策(可能時期)が存在します。

 

成績上位層の

「国試の勉強は6年生の夏から始めました!」という発言は

「M5までも日常的に勉強していたが、死ぬ気で勉強を始めたのはM6です」

という意味です。

 

この発言に

「なるほど、5年生までは遊んでいても最後に頑張れば逆転できるのか!」

と騙されて勉強を怠る被害者が後を絶ちません。

血塗られたバレンタインですね。

 

このセリフを鵜呑みにしてしまうからこそ。

本来は必要ない「1発受けるだけの」「オールラウンドな」直前まとめ講座が

人気になってしまうんですよね。

 

無論。

直前期に国試対策「のみ」に時間をさける大学が少ないからこその現状なのですが(笑)

 

理想も空しく、結局は需給次第なんですよね。

 

そうなると。

映像講義は、過去問をベースとし、

国家試験合格に主眼を置く国試対策特化型

初期研修・病棟外来業務を見据えた映像コンテンツも幅広く提供する

生涯学習と、に2極化する可能性もあります。

 

後者に関し。

TECOMは2021年よりm3 Educationとなり、

ソニー傘下である大本のm3はコロナ禍で純利益2.4倍と絶好調。

改名に伴いケアネットのような後期・認定専門医育成などの

生涯教育バックアップも視野に入れているっぽいので、

資本が流れてくれば早い段階で動きそうな気配はあります。

 

個人的推測ですが。

大手予備校はQAやmedu4の台頭によりシェアが分散し

「国試受験生だけでは採算が取れなくなった」という背景もあって

”生涯教育”にシフトしている印象です。

 

いずれにせよ。

学生は「自分に必要な講義を取捨選択する」必要が出てくるわけですね。

 

全然関係ないですが。

医学関係は「M」だらけになってしまいました(笑

個人的な覚え方は

MEC              →  m1

MedicMedia →      m2

TECOM         →   m3

medu4       →   m4

です、宜しくお願い致します(´・ω・`)

医師国試業界にもサブスクの波が!?

しかし。

如何に沢山の講座がオープンしても、

ベースとなる最低限の科目別講座は皆受講するわけで。

「面倒だから共同購入で」

「とりあえず全部入りプランで」

となること請け合いです。

 

たくさんの中から一つの商品を選ぶのって面倒くさい作業の連続ですもんね( ;∀;)

 

上記を踏まえたうえで、映像講義は今後。

サブスクリプション(定額制)が主体になっていくのでは!?

と予想します。

 

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ででーん!

 

既にMECでは初期研修~後期研修向けの講座も存在しており、

TECOMも教育映像部門で生涯学習コンテンツの拡充を謳い、

QAも臨床最前線の講師を招いたオンライン講義を開始しています。

 

既にケアネットのようなサブスク型を取っている医学教育コンテンツはありますので、

迷える子羊医学生のために。

月額1000円で全コンテンツ見放題!

のような売り出し方も見込まれます。

 

というか。

ケアネットが突然、国試対策にも本格参入したら恐ろしいですね(笑)

現在は初期研修以降向けの構成で値段も5000円/月と決して安くはないですが、

そのうち学生割が出れば映像講義サブスクのパイオニアになり得ます。

民谷先生や加藤先生など、国家試験対策に従事していた先生方も既にいらっしゃるので、今後の動向は要チェックです。

時代はVtuber講師!?講師軍団の誕生。

少子高齢化が避けられない日本において。

当然のように発生する医師の需給問題

 

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出典 第35回医師需給分科会資料

 

そう遠くない未来に予想される“医師余り”のリスクマネジメントとして

「医者も資産運用だ!」

「本業だけでなく副業も視野に入れないと!」

と叫ばれてきているからか、昨今の情報発信SNSの発展によるものなのか。

学生のうちから医学教育に興味がある!と宣言している方が増えてきている印象です。

 

群雄割拠の中から

各予備校のトップ講師のような新たなスーパースターが生まれてくる可能性もあり、

今後の若い世代の台頭にも期待大です。

 

しかし。

需給が限られているからこそ「ホンモノ」しか残らないのもまた事実。

 

そんな中。

次世代を担う教育者として注目を浴びているのが。

Vtuberです!

 

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医学以外の教育コンテンツを除いてみると。

アニメーションに合わせた音声解説や

ゆっくりボイスなどを活用した講義動画が既に存在しています。

 

「受け身」になりがちな動画視聴を打破するべく

「講師が動いており」「寄り添って教えてもらうことやライブ感を重視できる」

コンテンツとして今、Vtuberに熱視線が注がれています。

 

最大のメリットは講師の細分化です。

 

多くの講師で分担することで、

各科の専門知識を披露・国試対策チームによるサービスが展開できます。

 

また。

僕の様に外見に自信のない講師の参入もしやすいという裏メリットもあります( ゚Д゚)

 

ゲインロス効果でしょうか、最近の予備校講師はイケメンが多いですからね(笑)

美男美女の方が商談は成功しやすいというトンデモ研究もあるようですので、

Vtuberに慣れ親しんだ新入生世代などは人気キャラで選ぶようになるかも?

 

これは、先に述べた「低学年アドバンスド各論」の伏線にもなりますし、

大学講義の各論と食い合うこともありません。

同一講師による知識の一本化、というメリットはなくなりますが、

膨大な知識のインプット先として飽きが来ないというのはセールスポイントですね。

 

Vtuberに関しては、medu4やQAも地味に動き出しているようですし。

MECやQAが医学教育に関心のある学生・研修医に水面下で積極的に声掛けしている!?という噂もこうした背景が影響しているように感じます。

(良く言えばコンテンツの集約化、悪く言えば若い芽の囲い込み・青田買い?)

医学教育は何処へ向かうのか。

つらつらと予想を書いてきましたが。

第117回医師国家試験ガイドライン改訂を機に、

そして「医学教育」へのスタンスやアプローチの違いによって、

様々なコンテンツが生まれてくることは必須です。

 

極論的に「国試対策特化型」と「生涯学習型」とに二分するかも!等と書きましたが。

これについては本当に個々の意見が分かれるところだと思うのです。

 

そこで今度は。

「医学教育はどこへ向かうのか」

「予備校講師には何が求められるのか」

についてもブログを良いことに偉そうに個人的所見を書いていきたいと思います。

 

次回

「医学教育に興味のあるあなたへ」

乞うご期待!