明日は、どっちだ。
どもども、ひゃくとんです。
いやぁ。
失われた2年間でしたね(何が)。
2020年は飛躍の年にする!
そう意気込んでいた矢先。
世はまさに、大自粛時代。
私自身も俗世の情勢を言い訳に、現状を維持しつつ細々と生活しておりました。
ぶっかーん(武漢) 。
しかし。
どんな状況であっても。
今ある環境でなんとかせねばいかんのです(´・ω・`)
「コロナのせいで何もできなかった」
と愚痴っている人間がいる一方で。
「コロナのおかげでこんなことができた」
と言っている人間もいるわけです。
「〇●のせいで」
という人は、コロナがなければ他の何かのせいにしています。
環境を言い訳にしていられるほど、人生は長くはない。
結局のところ。
置かれた場所で咲くしかないのです。
さて。
やたらと自戒を込めた近状自体宣言も早々に。
気が付かなくても、もう夏。
受験生の皆さんにとっては、猛暑の。
猛勝負の夏ですね!
ばばん!
渾身のギャグにより体感温度を下げることに成功した私としては。
皆さんを陰ながら応援しつつ、来たる本番までの半年間が実りのある季節となることを切に祈るばかりです。
さてさて。
医師国家試験といえば、皆さんもご存知の通り。
2022年2月に行われる第116回を最後に現行のガイドラインは改訂となります。
出題基準改定の検討会は地味に進められていて。
予備校の先生方の情報発信により既にみている人も多いのではないかと思います。
厚生労働省HP:医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14356.html
こんなやつです。
色々と気になることが書いてありますよね。
今回はこの報告書を基に。
次年度(第117回)以降の医師国家試験についても、
ちょっとばかり、想いを馳せてみようかと存じます。
ハッセゴー!
今回の報告書で目を引くポイントは次の4つです。
1つずつ見ていきましょう。
臨床実習ベースの出題
これは今回に限らず、ずっと前から言われていた項目ではありますが。
直近の過去問から今後の動向は掴めるかと思います。
各種予備校および講師による総評は以下の通り。
・m3(TECOM)
https://www.m3.com/news/iryoishin/888761
https://www.youtube.com/watch?v=cMjCn-LrrhI
・MAC
http://www.macmic.net/info/info03.html
・MEC
https://www.gomec.co.jp/mec/kokushi/back_brief
・medu4(第114回)
・QA(MS)
https://informa.medilink-study.com/regularpost/27785/
どの予備校や先生も、
・過去問が実臨床に即したものにアレンジされて再出題している
・実臨床に即したリアルな問題が増加している
という風に分析しており、医師が患者にどういう説明をするか、実際の検査や治療の流れを問う問題が出てきていることは自明ですね。
かつての臨床問題は。
文章を読んでいれば診断につながるキーワードを拾え、
そのまま正答に繋がる「一発問題」も多かったのですが、
診断に直接関係ない情報も踏まえたうえで、
提示された中から必要な情報を取捨選択する能力が問われるケースが増えているように感じます。
かといって。
解答までは過去問演習の範囲内で十分に対応できたというのも事実で、この傾向は臨床ベースの出題が増加しても変わりないと思います。
まとめると。
丸一週間かかった国試分析もやっと終わり。
— medu4穂澄 (@medu423) 2021年2月14日
2020年度medu4講座の115回カバー率は91%(363問)。
国試究極MAPだけでも76%(305問)カバーしてました。
ドヤるつもりは全くなく、現代国試は過去問中心にコスパよくまとめれば、ここまで事前に対策できるものだ、と全医学部生に知ってもらいたいです。 pic.twitter.com/ODE2gt4oon
「◯◯の模試が的中した」とか「△△予想講座は合格に必須」といった時代はもう終わりを迎えたと言ってよいでしょう。たった9%を狙うために払う代償が大きすぎます。
— medu4穂澄 (@medu423) 2021年2月14日
目の前にある教材を信じて何度も繰り返して定着度を上げること。これが現代国試の最も効果的かつ最短な勉強法です。
これが全てです。
そもそも。
臨床実習ベースの出題とは、本質的には何なのでしょうね(´・ω・`)
「医学生でも知っておいてほしい臨床知識」の線引きとなり、客観的指標として役立つものとしては、昨年改訂された初期研修ガイドラインなどが挙げられます。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/ishirinsyokensyu_guideline_2020.pdf
特に『第2章 実務研修の方略』は受験生の皆さんも必読です!
手短に押さえておきたいものを紹介・抜粋。
● 一般外来研修(内科・外科・小児科・地域医療)
「初期研修医も外来を学んどこうや!」
ということが明文化されました。
3年目になった途端にいきなり専門医外来を担当する
という、医者も患者も困惑する状況を打破したいわけですね。
とりわけ、
2)導入(初回)
・病棟診療と外来診療の違いについて研修医に説明する。
・受付、呼び入れ、診察用具、検査、処置、処方、予約、会計などの手順を説明する。
と外来後の指導医へのプレゼンも研修項目に入っているので、
今後もこのような対話形式の出題が増えてくるかもしれません。
● 精神科(外来・リエゾン)の必修化
精神科の病棟研修は必須ではなくなりましたが、
精神科専門外来又は精神科リエゾンチーム*1での研修が必須となりました。
余談ですが、最近。
某大手予備校講師がSNSで
「精神科救急が重要だ!」と熱弁しているのは
実はこういった背景もあるのではと邪推しています。
無論。
集中的に勉強できるという点では、受講はとても有益です。
(ベースは救急なわけですし)
ただ、上記の背景や事実を知らずに本番を迎えると
「やっぱりあの先生の予想は当たっていた」となるわけですが。
予想が的中したのではなく、ガイドラインで必須化したからなだけです。
当然出ますし、その講座を取っていたから合格なんてことにはなりません(笑)
本番へ、予想へ向けて。
如何に伏線を貼っておくかというのも各講師のビジネス戦略として非常に勉強になりますね。
マネーのタイガー。
● 地域医療に”在宅医療”の追加
一般外来研修の他にも『在宅医療の研修を含めること』と追加されています。
初期対応や救急からの出題として
「限られた資材の中でどのようにするか」
などは今後も問われ続けると思われます。
そのほかにも「臨床検査・手技」という項目もあるので、
国試時点でも基本的なものは学んでおく必要がありますよね。
たとえばこんな問題など。こちらも詳細は後述。
● EPOC
初期研修医に限らず。
研修制度に乗っかっているドクター諸君は、
診療の合間を縫ってレポートを書かねば研修を終えることができません。
(研修後も診療の合間を縫ってレポートを指導添削しなければいけないという事実も忘れずに。)
特に初期研修での上記作成・提出システムをEPOCというのですが。
このうち、レポート作成が必須とされているものは以下の通りです。
気付いた方は御名答。
各予備校の「症候論」や「必修対策講座」は基本的に、
これらの疾患・項目にも準拠していたりします。(むしろそうであってほしい)
出題委員は「医学生でも知っておいてほしい臨床知識」として、
当然「初期研修中に取得すべき項目の基本概念」は問いたいはず。
上記の 29 症候と 26 疾病・病態は、
特にピックアップして復習してみても良いかもしれません。
CBT化導入を見据えた問題の非公開・プール制導入
既に多くの方が注目している一番の変更点は、やはり。
『試験問題の非公開化』
これに尽きるかと思います。
116回を最後に。
純度100%の過去問演習は不可能となるわけです。
今後の大手予備校の戦略として。
事前に受験生をバイトとして雇い人海戦術で
「あなたはA1を、あなたはA2を頑張って覚えてきて!」
と依頼し、再現問題を作成。
それを基に以降の直前講座などに反映などを行う可能性はあります。
(医学生は既に大学の試験で問題を覚えるスキルは結構身に付いてますからね(笑))
しかし、ここで問題になるのは。
CBT化による出題ランダム化によって
人海戦術をもってしても完全再現ほぼ不可能となることです。
加えて、昨今の「CBT対策『対策』」によって
復元問題の出題率が調整される可能性もありえます。
再現すればするほど、類似問題が出なくなるというジレンマ。
更に、受験生のレベルに関わらず、
長文臨床問題となると「割れ問」を再現するのが困難となります。
上記のようなケースでは、選択肢をしっかり記憶しておくことが再現性の担保となりますね(`・ω・´)
要するに。
当然のことながら再現問題には限界がありますので、
従来通り「過去問(知識)をベースとした問題演習」でしっかり合格点を目指すことになりそうです。
国試版OSCEの導入検討
報告書の通り、実際の導入にはもう少し時間がかかると思いますが、
検討されているということは、今後の施行も見据えた先取り出題が増えていく可能性は十分にあり得ます。
具体的には。
4年次CBTでいう4連問1問目のような鑑別問題や、
症候学概論のような総合診療系・主訴ベースの出題増加が予想されますよね。
TECOMの瘧師先生は既に個人で上げておりますので参考に。
#OSCE
— DrG (@DrG721) 2021年6月21日
頭頸部をアップします!! pic.twitter.com/rbrf3YGiMF
しっかし。
本当に国試版のOSCEが開始となったら。
問診項目を問うのか。リスニングによる心音・呼吸音聴取が実現するのか。
模擬患者役はさすがにシミュレータだと思いますが、
試験会場によって患者さん役に差があったら雅ですよね。
「仙台会場の患者さんは迫真の演者が多かった」
みたいな。
そもそも。
国試会場に聴診器持参となるのでしょうか(´・ω・`)
試験で差のつく!おすすめ聴診器!
いっそのこと。
大学共通試験のリスニングイヤホンのように、
聴診器が全員に配布されたら面白いですね('ω')ノ
政府公認ステート。
ほしい。
今後はこんな講義が増える!?
長々と見てきてしまいましたが。
殊に国家試験対策という観点からは、
従来通りの対策で十分対応可能な時代は今後も続くと想定されます。
初期研修のうちに学んでほしい項目は必然的に
「その基礎知識については国家試験段階で理解しておいてほしい」
となるのが筋のはずですからね(⌒∇⌒)
とはいいつつ、受験生心理として。
「各論ももう少し踏み込んで勉強しなくっちゃ」
「輸液とか抗菌薬とかもやっといた方が良いのかな」
として、依然として臨床×国試のような講座がオープン・人気になってしまう傾向はあるかと思います。
(これについても議論は必要ですよね)
コロナ禍によって”教育のICT化”に拍車がかかっているのもあり。
medu4が予想してきた通り117回を機に医師国試予備校も大きく変化していくと思われます。
そんなわけで。
これらの情報を基に。
未来の医師国家試験予備校が
どのように移り変わっていくのか。。。
後半は、そんな個人的な予想や希望を込めた考察記事にしようかと考えております!
前置き終了!
早速、と行きたいところですが。
ちょっと長くなってしまったのでこの辺で小休止と致しましょう。
医学教育に興味のある学生さんにも興味の出るような記事に仕上げていきますので、
もうしばしお待ちくださいませ。
乞うご期待!
*1:精神科以外の診療科の入院患者に対して精神科診療を提供する精神科を中心としたチーム